前回の記事では、CIOE 2026会場全体で感じた「自動化」のトレンドについて触れました。今回は、その中でも特に印象的だった、深圳・凤凰光腾(PHOENIXGT)社、江西省胜明電子科技有限公司(SMET)のブース資料をもとに、研磨自動化がどこまで進んでいるのかを、具体的な数字とともにご紹介したいと思います。
前回記事はこちら第27回CIOE参加レポート―深圳で見た光電産業の自動化トレンドとマイポックスの挑戦
PHOENIXGT社とは
PHOENIXGT社は、深圳の光明智能製造産業園に拠点を置く、光ファイバー精密研磨の全自動化ソリューションを手掛ける企業です。自社を「全球自動化光纖精密研磨解決方案提供商(グローバルな自動化光ファイバー精密研磨ソリューションサプライヤー)」と位置づけ、MPO/FA全自動研磨機、検査設備、コネクタ自動化組立設備を中心に、AIコンピューティングや高速光相互接続、IDCデータセンター産業チェーンのニーズに応える製品開発を進めています。
同社が掲げる企業ミッションは「光ファイバー精密研磨をより安定的・効率的・再現性の高いものにすること」。業界が抱える課題として、低効率・品質のばらつき・高コスト・データが蓄積されていないことの4点を挙げており、これらを自動化によって解決するという明確な戦略定位を打ち出していました。
手作業と自動化、これだけ差がつく
ブース資料の中で最も目を引いたのが、従来の人手による研磨作業と、同社の自動化ソリューションを比較したこの数字です。
生産能力が約10倍、必要人員は5分の1、歩留まりも安定して95%以上、消耗品コストまで下がるという結果です。単純な省人化にとどまらず、品質のばらつきそのものを抑え込んでいる点が、自動化のインパクトの大きさを物語っていると感じました。
導入から量産までのスピード感
納入のリードタイムも具体的に示されていました。
月産能力は20〜30セットとのことで、導入後のアフターサービスも、多地域サービスネットワークによる2時間以内のクイックレスポンス、24時間リモート技術サポート、24時間以内のオンサイト対応など、スピード感のある体制が整えられています。
研究開発体制と品質管理
こうした数字を支えているのが、博士・修士30名以上からなる複合型研発チームです。機械設計・自動化制御・軟件開発・アルゴリズムまでを一気通貫で自社開発している体制が紹介されていました。
品質管理の面でも、1,000pcs以上の小ロット研磨テスト、48時間の無負荷エージングテスト、端面と全面の全数検査といった工程が標準化されており、「検査は品質を作らない、設計と製造が品質を作る」という考え方のもと、工程そのものの標準化に力を入れている印象を受けました。
こうした体制の確かさは、以下のような名だたる企業との取引にもつながっています。
自動化設備メーカーとして、すでにグローバルなサプライチェーンに深く入り込んでいることがうかがえます。
他社にも広がる自動化研磨機
自動化研磨機を手掛けているのはPHOENIXGT社だけではありません。
江西省の江西省胜明電子科技有限公司(SMET)のブースでも、同様の全自動研磨ラインが稼働していました。編程MPO研磨機「SM-3180」や編程四角研磨機「SM-3133」といった機種を展示しており、実機のラインでは複数の研磨盤治具がロボットアームによって自動搬送・研磨されている様子を間近で見ることができました。
同社はMPO/PC-24、LC-PC-52、LC-PC-72、SC-PC-36、SC-PC-48など、コネクタ規格ごとの高精度研磨盤・治具のカスタム対応もアピールしており、装置メーカー各社がハード(研磨機)とソフト(治具・レシピ)の両面で標準化・汎用化を競っている印象を受けました。
こうして複数社の展示を見比べると、研磨自動化はもはや一部の先進企業だけの取り組みではなく、業界全体で急速に標準装備化しつつある技術だと実感します。
マイポックスとして考えたいこと
前回の記事でも触れましたが、こうした自動化ソリューションが当たり前になっていく中で、研磨材やスラリーを供給する立場としては「自動化ラインの中で安定した性能を出し続けられるか」が問われることになります。
今回のPHOENIXGT社の資料にあった歩留まり・コスト・スピードという評価軸は、まさに研磨材メーカーが自動化設備メーカーと協業していく上でも共通言語になる部分だと感じました。
まとめ
こうした自動化設備と当社の研磨材・スラリーとの相性について、もう少し掘り下げて考えてみたいと思う展示会の体験となりました。

