前回(前回の投稿)は、コスタリカの自動車補修市場が「修復」を選ぶ構造的な背景を整理しました。今回は、その「修復が増える」という変化が、現場の研磨工程にどんな影響を与えているのかを掘り下げます。
中米市場が抱える共通の課題
コスタリカだけでなく、エルサルバドルやニカラグアでも同様の傾向が見られます。市場規模が小さく、物流が限定的な国では、部品の入手性・価格変動・納期の不確実性が常に課題となっています。
こうした環境では、「部品が来るまで待つ」という選択肢がそもそも成立しにくい。結果として、手元にある車両をいかに修復するかという発想が、現場の工程設計の出発点になります。
EVと新素材が変える補修現場
近年はEVの流入も進み、高張力鋼やアルミ材の比率も上昇しています。軽量化が進む一方で、熱による歪みや変形への配慮がより重要になっています。
従来の鉄板を前提とした作業手順がそのまま通用しなくなってきているということです。素材が変われば、研磨の道具も手順も変わる。補修現場はいま、そういう転換点に差し掛かっています。
研磨工程の「量」より「質」
ここで重要なのは、「研磨工程が増えるかどうか」ではなく「研磨が関与する工程の質が変わる」という点です。
研磨は補助工程ではなく、工程設計の中心に位置づけられます。
修復市場では、研磨の役割が「仕上げの調整」から「工程全体の起点」へと変わります。どの段階でどの研磨を入れるかが、後工程の手戻りや品質に直結するからです。
交換市場と修復市場、研磨の違い
交換中心の市場と修復中心の市場では、研磨が関与する工程の幅がまったく異なります。
交換中心の市場
- プラサフ研磨
- ブツ取り
- バフ前調整
修復中心の市場
- プラサフ研磨
- ブツ取り
- バフ前調整
- ▶ 切断部整形
- ▶ 溶接ビード処理
交換中心の市場でも、塗装工程における研磨は必ず存在します。しかし修復中心の市場では、それに加えて切断部整形や溶接ビード処理といった金属素地段階での研磨が増加します。つまり、研磨が関与する工程の「幅」が広がるのです。
まとめ
修復が増えるということは、研磨が関わる工程の数が増えるだけでなく、その役割そのものが変わるということです。塗装の仕上げ調整から、金属素地の整形まで。研磨は工程全体を貫く軸になります。
次回は、こうした修復工程の増加を踏まえて、現場の研磨工程を改めて俯瞰します。どの工程に何が求められるのか、工程ごとに整理していきます。
記事No,395
