キャビンとは建設機械・トラック・農機具などの運転席の部分を指します。今回は建設機械向けキャビンに必要な研磨材製品についてご紹介します。

目次

  1. 建設機械用キャビンとは
    1. 建設機械用キャビンの工程
  2. 研磨の重要性
  3. キャビンの研磨工程
    1. 板金・溶接後研磨
    2. 塗装工程
  4. まとめ

建設機械用キャビンとは

建設工事向け機関車の形態の一種で、箱形の車体で運転室があるものとなります。キャビンは建設機械において最も目立つ部分であり、メーカーによって特徴も違います。建設機械用キャビンは作業状況を見やすくするために快適性を重視した作りになっていますが、近年では少しでも安全に運転手を守ることができるように、より強度の高く安全であることが重要となっています。

建設機械の現場では、不整地や瓦礫などの不安定な場所での作業があったり、地面から堀削する作業で足元の地盤が崩壊してしまったりと、転倒事故が発生する危険性があります。
また上部からの落石や解体作業での破砕物の飛来など、運転席に直接被害が生じる事故もあります。こうした事故を最小限にするため、キャビンに対して安全性の高い規格基準をもとに製造されています。

建設機械用キャビンはパネル・異形鋼管等で構成されており、それらの部品をプレス・溶接して組み立てられ、その後は電着塗装・上塗り塗装を行い、艤装品を組付けて最終検査を行い完成となります。

建設機械用キャビンの工程

板金・プレス加工⇒溶接組立て⇒カチオン電着塗装⇒コーキング⇒上塗り塗装⇒艤装品組付け⇒検査⇒完成。

近年では溶接や塗装もロボットによる自動化が進められており、省力化を図っている工場が多くなっています。しかし細かい部分までは自動化が難しく、手作業によって溶接や塗装の補修などが行われています。

研磨の重要性

建設機械には会社名が入ることから見た目が重要視されており、箇所によっては塗装後に鏡面となるほどの仕上げ面を要望されます。また過酷な環境で作業することもあり、ボディーの防錆力が求められています。美的付加価値や密着性の向上を目的に何層かに塗装するため、研磨作業が必要不可欠となっています。これにより、綺麗な外観を確保しつつ防錆力も得て建設機械の耐年数が増します。

キャビンの研磨工程

板金・溶接後研磨

板金加工ではペーパーディスク・DRAD-DDSM(N) P60~P80 125Φをエアーサンダーに取り付けて使用、溶接部の仕上げ研磨はフラップディスクであるハイハイジスク P80~P120 100ΦX16をグラインダーに取り付けて研磨します。その後、溶接部巣穴を埋めるパテ研磨にペーパーディスク・DRAD-DDSM(N) P120 125Φ、DRAC―DDSM(N) P150~P180 125Φを使用します。

塗装工程

カチオン電着槽に入り電着塗装されたキャビンにペーパーディスク・RRAC-DDSM(N) P240~P320 125Φ、リペアー研磨にペーパーディスク RRAC-DDSM(N) P400~P600 125Φを使用します。また曲面での研磨作業も多いため、馴染み性が欲しい時にはエアーサンダーとペーパーディスクの間に自社のクッショナー SC-5を間に挟んで使用することを推奨しています。

建設機械用キャビンは1日に数多くの台数を生産するため、1台における研磨は短時間で行う作業が求められています。このため、研削力のあるペーパーを要求される傾向にあります。

また、さまざまなパーツを取り付ける箇所が多いため、鋭角で鋭い箇所が多く、研磨作業時にペーパーディスクへの負担が掛かりやすい状況となります。ペーパーディスク端面の紙破けが発生し、その部分からワークを傷つけることもあるため、ペーパーの基材に強度があり耐久性のある研磨製品を要求される傾向にあります。自社では研削力・耐久力に優れているDRAD・DRAC・RRAC基材のディスクペーパーを推奨しています。

ディスクペーパーと付属して使用するエアーサンダーは、ダブルアクションサンダーのGO9サンダー(マジック式)を推奨しています。サンダーのオービットダイヤ9㎜を採用しており、振れ幅が大きく研削力があります。通常、オービットダイヤが大きければ大きいほど作業時に振動が大きくなり作業しづらいことが多いのですが、GO9サンダーは振動が軽減されており、なおかつ軽量であることから、作業時の負担を軽減できます。

※画像の左からペーパーディスク・ハイハイディスク・GO9サンダー

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まとめ

建設機械のオペレーターは作業中にどうしても死角が多く、周囲にとって危険な状況が発生しやすいと言えます。一歩間違えると大きな事故になりかねないこともあり、警戒が必要となります。そのため、周囲の人々に注意を促すよう、景色に溶け込まない黄色やオレンジなどの目立つ色を建設機械に採用しています。メーカー別にさまざまな色が採用されており、その色によっては製造時にペーパー目が目立つような場面もあり、番手選定を変更するなどの工夫も必要となっています。

建設機械にはメーカー名や使用会社名が入っており、その会社を代表する看板のようにも捉えられているため、綺麗に塗装された建設機械を製造しなければならず、キャビンも同様の品質が求められています。

あるユーザーで自社の研磨材製品が採用されたポイントは研削性が上がった事により、作業スピードが他社製品に比べて40%~60%UPし、なおかつペーパーの仕上げ面も問題ないことが大きな要因でした。そのことから作業者の残業時間が減り、感謝の言葉を頂いたことが記憶に強く残っています。自社の研磨材製品でお客様のお役に立てている事が何よりの喜びです。