目次

  1. Day2のテーマ:「自動化」とは何か?
  2. 電源を入れない!?「じらし」が生んだ深い構造分析
  3. 製造のプロが伝える「安全第一」と、自動機ならではのアクシデント
  4. 「現状復帰なら改造OK」——マイポックスの受託事業に通じるマインド
  5. チームビルディングと行動指針「あ・い・う・え・お」
  6. 研磨フィルム「5枚」の選定と「再現性」への挑戦
  7. おわりに

1日目の手研磨体験の熱気も冷めやらぬまま迎えたDay2。テーマは「究極のどろだんごマシンを作る(自動化への挑戦)」です。2日目のワークショップの模様と、高校生たちとの試行錯誤から見えてきた「ものづくり」の真髄をレポートします。

Day2のテーマ:「自動化」とは何か?

2日目はチームが再編され、新たな高校生メンバーとの顔合わせからスタート。大人も高校生も、やはり気になるのは「昨日どんな研磨フィルムやプロセスを使ったか」ということ。1日目の失敗・成功の話題で持ちきりとなり、スタート早々一気に距離が縮まりました。

どろだんごマシーン始動

2日目のゴールは、手研磨から「マシンを使った自動化」へのステップアップです。

自動化の定義(本プログラムでの定義)

単に機械を動かすことではなく、「再現性・量産性・安全性・効率性を考慮し、誰がやっても同じ結果を出せること」。

先行研究や前例を学び、それを超えていく——「当たり前を超える」ことの難しさと面白さに挑む1日が始まりました。

電源を入れない!?「じらし」が生んだ深い構造分析

今回ベースとして使用するのは、専用の「どろだんごマシーン」です。普通ならすぐに電源を入れて動かしたくなるところですが、今回はまず「電源を入れずにひたすら触りまくる」というユニークなプログラムからスタートしました。

機械が止まった状態でとにかく触りまくり答えを探す参加者達
機械が止まった状態でとにかく触りまくり答えを探す参加者達
最初にやったこと
1 部品を少し分解して構造を把握する
2 手動で動かしてメカニズムを観察する
3 手動で研磨フィルムをセットし、どう削れるかチェックする
4 テープなどを使って簡易的な治具をつくってみる

マシンには摺動(しゅうどう)機構と圧力調整機構が備わっており、ダイヤル調整だけでなく、バネと重りを追加して+αの圧力をかけられる設計になっていました。こうした構造を手と目でじっくり観察・分析した後に、いよいよ満を持して電源を投入!

「どろだんごをセットし、いよいよ稼働へ。」
「どろだんごをセットし、いよいよ稼働へ。」
ポイント

事前に分析し尽くしたからこそ、「動かしたときにどうなるか」のイメージが劇的に広がる。電源を入れる前の「じらし」が、深い理解を生み出す素晴らしいプロセスでした。

製造のプロが伝える「安全第一」と、自動機ならではのアクシデント

機械を稼働させる前には、徹底した安全講習が行われました。保護具の着用、周囲への配慮、高電圧・駆動部の危険箇所など確認事項は多岐にわたります。日常的に安全を最優先するマイポックスの製造部門のメンバーが、高校生たちに直接レクチャーしました。

プログラムの冊子にも安全について厳しく書かれている
プログラム専用の冊子にも、安全上の注意がびっしり。「安全第一」の徹底ぶりが伝わってきます。

実際に自動機を動かしてみると、手研磨とは違う課題が次々と発生。研磨パッドの端面が泥だんごに当たって表面に傷が入るなどのアクシデントも起きましたが、高校生も社員も諦めず、加圧や位置を調整しながら徐々に扱いに慣れていきました。

いよいよ電源投入。スイッチを押す前に、全員で手順をもう一度確認します。
いよいよ電源投入。スイッチを押す前に、全員で手順をもう一度確認します。

「現状復帰なら改造OK」——マイポックスの受託事業に通じるマインド

コンテストのルールとして、「現状復帰ができる範囲であれば、機械を自由に改造してよい」という発表がありました。

電源を入れる前に、手動で台座を動かしてどろだんごの動きを確認。地道な分析がブレイクスルーを生みます。
電源を入れる前に、手動で台座を動かしてどろだんごの動きを確認。地道な分析がブレイクスルーを生みます。

これを聞いたとき、私は自社の受託事業と強く重なるものを感じました。マイポックスの受託事業は、お客様の素材をお預かりし、当社の設備を使って「塗る・切る・磨く」技術を提供するサービスです。既存の設備で対応するだけでなく、お客様の「やりたいこと」を実現するために、時には設備を現状復帰できる形で工夫・改造しながら工程を組み上げます。

MIPOX SERVICE 01
受託製造
塗布・スリット加工

お客様の基材や塗料材をお預かりし、クリーンルーム内の設備で機能性フィルムを受託製造。カップ1杯の塗料量から少量試作・量産まで柔軟に対応します。

  • 研磨フィルム製造で培った分散・調合技術
  • 薄膜塗布・高精度な厚み抑制技術
  • Roll to Roll ウェットコーティング成膜
  • 高品質なスリット・ダイカット加工
サービス詳細を見る →
MIPOX SERVICE 02
精密研磨
加工サービス

半導体ウェーハから3Dプリント造形物まで幅広い素材の研磨加工を受託。難削材への対応技術には定評があります。小ロット試作から柔軟に対応します。

  • 平面研磨(CMP)・エッジ研磨加工
  • ウェーハ常温接合・精密洗浄
  • サイズダウン・ダイシング
  • プロセス開発・移管対応
サービス詳細を見る →

高校生たちがマシンに向き合う姿は、まさに私たちが日頃ビジネスで行っているものづくりの原点そのものでした。

チームビルディングと行動指針「あ・い・う・え・お」

午後は同じチームで振り返りを行い、ワークショップの成果をシェア。このプロジェクトには「特定のリーダー」を置かず、全員がそれぞれの強みを活かして協力し合います。活動を通じて、参加者一人ひとりが自分の役割を再認識していました。

「知らない世界とつながり、新しい挑戦をする」——リバネスのスタッフが、プログラムの意義と参加者のマインドセットについて語りかけます。
「知らない世界とつながり、新しい挑戦をする」——リバネスのスタッフが、プログラムの意義と参加者のマインドセットについて語りかけます。

ワークショップの中で共有された「あ・い・う・え・お」の行動指針も非常に印象的でした。

新しいね—— 変化や発見を歓迎する
いつやる?—— すぐに行動に移す
うまくいかなくてもやってみよう—— 失敗を恐れない
越境してみよう—— 行き詰まったら外に目を向ける
面白くなってきたね—— どんな状況も楽しむ

特に「い(いつやる?)」は、仕事を進める上で最も立ち止まりやすいポイントです。マイポックスでは現在、PDCAを超えた「DDDD(Do, Do, Do, Do:とにかくまずやってみる)」という文化が根付いていますが、「まず動く」精神の大切さを改めて実感させられました。

研磨フィルム「5枚」の選定と「再現性」への挑戦

2日間の試行錯誤を踏まえ、各チームが本番に向けて使用できる研磨フィルムは「5枚まで」に絞り込まれました。私たちのチームでは2日間の失敗データをもとに5種類を選定し、以下の3ステップで検証を行いました。

昨日の失敗を活かして選定した研磨フィルム。手研磨では、誰がやっても近い仕上がりを実現できました。
昨日の失敗を活かして選定した研磨フィルム。手研磨では、誰がやっても近い仕上がりを実現できました。
STEP 01
手研磨での検証

選んだ5枚の組み合わせで狙い通りの仕上がりになるか仮説検証

STEP 02
人による再現性の確認

別のメンバーが同じ工程で手研磨を行い、誰がやっても同じ結果になるかチェック

STEP 03
マシーンでの検証

並行して「どろだんごマシーン」にセットして研磨を実施

白のパッドに研磨フィルムを貼るか、台座に貼るか。正解のない問いに、それぞれのチームが独自のアプローチで挑みます。
白のパッドに研磨フィルムを貼るか、台座に貼るか。正解のない問いに、それぞれのチームが独自のアプローチで挑みます。
✅ 手研磨:再現性を証明

人を変えても近い仕上がりを実現。「再現性」の仮説が証明されました。

🔧 マシーン:微調整が必要

自動化の奥深さを痛感。まだまだ改良の余地があり、本番に向けて継続検証中。

手研磨では再現できた仕上がりも、自動機になると一筋縄ではいきません。左右の差が、自動化の難しさを物語っています。
手研磨では再現できた仕上がりも、自動機になると一筋縄ではいきません。左右の差が、自動化の難しさを物語っています。

おわりに

2日間のキックオフプログラムを通じて、単なる「泥だんご作り」を超えた、本物の研究・技術開発のプロセスを体感することができました。

選定した5枚のフィルムと、自らカスタマイズしていく「どろだんごマシン」。コンテスト本番に向けて、それぞれのチームがどのようなアプローチで「究極の光るどろだんご」を仕上げてくるのか、今から楽しみでなりません。

各チームの進化と発表に、ぜひご期待ください!

6チームそれぞれが、それぞれの仮説を持って動き続けた2日間。会場中に満ちた熱量が、このプログラムの本質を物語っています。
6チームそれぞれが、それぞれの仮説を持って動き続けた2日間。会場中に満ちた熱量が、このプログラムの本質を物語っています。